こんにちは。お彼岸も過ぎ、春の陽気になりました。
今年は感染症の感染拡大を防ぐため、お花見もなかなかできませんが、
デリバリーや中食は便利な食事として好調のようですね。
今回は、イモ類について解説をしたいと思います。以前の記事で、食物繊維の生理活性について解説をしましたが、イモ類には食物繊維が多く含まれている種類もたくさんあります。また、肌や血管の健康維持に必要なビタミンCも野菜や果物に比べて壊れにくく、摂りやすい構造をしています。ついつい糖質の多さに注目してしまいがちなイモ類ですが、摂取することのメリットも勿論ありますので、紹介をしたいと思います。
イモ類には、甘くておいしいサツマイモやホクホク食感がたまらないジャガイモがあるにゃ。加熱しなくても食べることができるイモは、イモ自身に消化酵素が含まれているのにゃね。では、5種類のイモ類を中心に解説を始めるにゃ!
イモ類を主食とする国や地域
- イギリス、アイルランド、フィンランド
- ソロモン諸島、パプアニューギニア、ペルー
- 東南アジア
まず、イモ類を主食とする国や地域を挙げてみました。
イギリスでは、主食という考え方があまりないようで、ジャガイモだけを主食とする、というわけではないようです。北欧の国々では、ジャガイモを使った料理が多いイメージがありますね。
熱帯地域では、タロイモやキャッサバ(タピオカの原料)といったイモ類をエネルギー源として食べています。
ペルーでは、海岸地域と山岳地域で主食とする食物が違うようです。
その土地の気候や風土に合わせて、1番適した食物が栽培されていることが分かります。
ジャガイモ
ジャガイモは、世界でも多くの国や地域で栽培されている作物です。
生産量としては、3億7000万トン以上と言われています。
そのうち、半分はデンプンの原料として利用されていて、片栗粉として販売されていたり、多くの加工食品に使われています。
栄養素としては、野菜や果物に含まれているイメージの強いビタミンCを含んでいます。ジャガイモに含まれるビタミンCは、野菜や果物に比べて加熱に強く、壊れにくいとされています。その理由として、ジャガイモに含まれる多くのデンプンがビタミンCを取り囲んでいるからです。糖質が多い、と思われがちなジャガイモですが、ビタミンCの摂取しやすさから見ると、加熱で失われやすい野菜や果物よりも効率がよい摂取方法かもしれません。
アメリカでは、ポテトは野菜、とされていますが、あながち間違っている、とは言い切れないかもしれませんね。フライドポテトやポテトチップスなど、ジャンクフードに分類される食品に加工されていることが多いのが、太りやすいと言われやすい要因かもしれません。
日本では、時々小学校などの教育機関で、ジャガイモによる食中毒が発生しています。ジャガイモの芽や緑に変色した部分には、ソラニンという毒性をもつ物質が含まれています。これは、加熱しても壊れにくいアルカロイドという物質です。市販されているジャガイモは、放射線(食品に照射してよいとされている)により発芽を抑制されていますが、学校などの畑で収穫したジャガイモはそのような処理ができないので、誤って食べてしまい、食中毒が発生してしまう事案が起こります。自家栽培でも、同じようなことが起こり得ますので、収穫後は日に当てないこと、目が出てしまったら必ず取り除くことが必要です。食中毒の症状としては、下痢などの消化器症状があるようです。
サツマイモ
石焼き芋、美味しいですよね。
特に、濃い黄色の濃厚な部分は甘くてとても美味しいです。
そんな美味しい焼き芋の秘密を解説したいと思います。
サツマイモには、βアミラーゼという消化酵素が含まれています。これは、糊化したデンプンを麦芽糖へと分解する働きを持ちます。糊化デンプンとは、生デンプンを加熱することで柔らかく、消化しやすく変化したデンプンのことです。麦芽糖はブドウ糖が2個結合した二糖類で、甘味を感じます。
焼き芋が甘くなるのは、70℃前後で加熱することで、サツマイモに含まれる生デンプンが糊化デンプンに変化し、その糊化デンプンをβアミラーゼが麦芽糖へと分解するからです。麦芽糖が増えると、甘味を強く感じるため、甘くて美味しい焼き芋ができるのです。
ポイントとして、70℃前後の温度を保つことです。加熱した石は、冷めにくく一定の温度を保ちやすいため、石でゆっくり焼いた芋が美味しくできるのです。家庭で甘い焼き芋を作ることがなかなか難しい理由は糊化デンプンをβアミラーゼが分解する時間、温度を一定に保ち続けなければいけないからです。レンジで加熱しても甘くならないのは、このような仕組みです。
また、サツマイモには各種のビタミンや食物繊維が多く含まれています。デンプンを多く含むため、糖質が気になる方もいるかもしれませんが、甘味を利用して砂糖の使用量を抑えたお菓子や総菜として利用する方法もあります。豊富な糖質を利用して、芋焼酎の原料ともなります。
ビタミンや食物繊維を含んでいるため、子どものおやつとしても適していると思いますので、サツマイモの旬である秋には、積極的に食べたい食品の1つです。
里芋
日本ではあまり馴染みのないタロイモと同じ種類です。
里芋のぬめりは、ガラクタンとタンパク質が結合したものです。
経験のある方もいると思いますが、里芋の皮を剥くと手が痒くなります。これは、シュウ酸カルシウムという結晶が皮膚に刺さってしまうからと言われています。
また、生のまま食べることは難しく、えぐみが強いためアクを抜いてから調理や加工がされます。
ヤマノイモ
山芋、長芋、自然薯、つくねいもなど色々な種類があります。
自然薯は天然でした獲ることができないため、高価な食材です。
これらは、デンプンを消化する酵素を含むため、生で食べることができます。
とろろが生食できる理由はこのためです。
お正月の豪華なおせち料理の後、とろろを食べる習慣がありますが、これはデンプンの消化酵素を利用した先人の知恵、であると分かります。
日本の行事食や伝統的な調理法は、現代の科学的な視点で見ても理にかなっていることも多いため、食文化を未来へ繋げることへの意義を感じることができますね。
コンニャクイモ
多糖類のグルコマンナンを含み、糖質ではなく食物繊維が主な成分です。
こんにゃくに加工する手順としては、乾燥させて粉末にし、アルカリ(食用の水酸化カルシウム)でかためます。
ヒトの消化酵素ではほぼ分解されないため、100g当たりのエネルギー量は5㎉で、ダイエット食品として多く利用されています。
また、腸の掃除をしてくれる、ということですがこれはコンニャクイモに含まれる食物繊維が分解されずに腸まで届くため、ブドウ糖の吸収を抑えたり腸に残っている食品のカスなどの排泄を促進する効果を指しています。
食物繊維の記事でも載せましたが、このグルコマンナンはサプリメントや錠剤として摂取する場合には、適切な量の水と一緒に摂取することが大切です。カナダでは、グルコマンナンを一度に多量に摂取することで消化管の閉塞などを引き起こすことがあると注意喚起がされています。
ただ、こんにゃくとして食べる分には問題はありませんので、ご安心くださいね。
まとめ
春だけど、焼き芋が食べたくなりました。
新じゃがの季節でもありますね。ホクホクのポテトサラダでも作ろうかな~
肉じゃがもいいですね。加熱しても壊れにくいビタミンCを含むジャガイモは、積極的に料理に使いたいと思います。
生で食べることができるイモって、デンプンを消化する酵素が含まれているからだって初めて知ったにゃん。
食べすぎにとろろがおススメなのは、そのデンプンを消化する酵素を摂ることができるからにゃね。
経験からそういった工夫が生まれたのは、感慨深いものがあるにゃ・・・
次回は炭水化物シリーズの最後のテーマ、砂糖について解説をするにゃよ!
お楽しみに~
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